NPO法人子どもの森づくり推進ネットワーク

子どもの森づくり運動 OMEP「世界幼児教育機構」世界大会参加レポート

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 (開会式)

2013年7月11日から13日の3日間、中国の上海でOMEP世界会議が開催され、子森ネットでは、分科会(セッション)にて「子どもの森づくり運動」及び同運動「東北復興グリーンウェイブ」の取り組みについて発表を行いました。以下、プレゼンター河内インストラクターのレポートです。(*写真提供:たかつかさ保育園 藤井先生)

 

1)レポート① OMEP上海世界大会について

ご存知の方も多いと思われますが、まずはじめにOMEP「世界幼児教育機構」について、OMEP日本委員会のホームページの記載内容を借りて説明します。

●「OMEPは、第2次世界大戦直後、未だ戦火の消えないヨーロッパで、幼児教育にたずさわっている人々が、国境を越えて子ども達のために協力する目的をもって、創設された国際機関で、幼児教育・保育のすべての面に貢献する国際的な非政府(NGO)非営利(NPO)組織です。加盟国は現在では、56か国と成っています。

●MEPの主目的は、「すべての子どもが、家庭や保育・教育機関、そして社会の中で、より良く発達し、幸せになるように、最適条件を用意する」ことで、この目的のために、幼児教育・保育を改善するためのあらゆる努力を支援し、これによって、OMEPは人類の相互理解に貢献し、ひいては世界の平和に寄与するとされています。

今回、上海で開催された世界会議のテーマもこの目的に沿い、Enhancing the Development of Early Childhood Education: “Opportunities and Quality” で直訳すると「幼児教育の機会と質の発展の増進」のような意味になるでしょうか。このテーマにはさらに、10のサブテーマが付され、世界中から参加した幼児教育と保育に関わる方々によって、基調講演・シンポジューム・ワークショップ・分科会での口頭発表・ポスター発表が3日間、多くの会場に分かれ開かれました。

 

DSC00894_R( 会場風景)

どの会場にもアジア、欧米、アフリカと世界中からの参加者があふれ、人種や国を超えた交流と議論が盛んに行われ、緊張感がある中にも和やかな雰囲気が流れ、私にもう少しの度胸と英語力があればもっと充実した世界会議ライフを楽しめたものと、帰って来た今、少々悔しい思いをしております。

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  (ポスターセッション会場)

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( 参加者交流会場)

世界会議全体を通して感じた事は、このような会議でのヨーロッパの発信力と主導権の大きさです。例えば大ホールで行われる基調講演は、ヨーロッパ関係者か開催国の中国のものがほとんどです。しかしアフリカ等のいわゆる発展途上国との格差は大きいです。論理的で合理的なヨーロッパの方法だけで無く、日本の情緒的とでも言えるような方法も、そのような国々の幼児教育発展には必要と思われます。日本の幼児教育と保育の現場で、すばらしい実践と研究をなされている多くの先生方に、ぜひこのような場で世界に向けて発信頂きたいと感じた3日間でした。

 

2)レポート② 分科会発表について

次に、分科会での発表について報告します。今回の会議において、子森ネットは「子どもの森づくり運動と東北復興グリーンウェイブの実践と意義」について発表しました。英語題は以下のようになります。

Planting The Seeds Of Symbiosis In The Hearts Of Young Children

A Children’s Forest – The Green Wave For The Recovery Of The Tohoku Region

発表は、内容が会議のテーマ及びサブテーマに沿ったものである必要があります。この発表はサブテーマの中の、Education for Sustainable Development「持続発展教育」(ESD)に関する活動として発表しました。発表形態はパワーポイントを用いた、プレゼンテーション方式で、割り当てられた時間は20分間です。

 

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(河内インストラクター分科会発表風景)

私たちの分科会には子森ネットを含む4つの発表が有り、その中の3番目として発表しました。ちなみに他の発表は、1番目がオーストラリアのマッコーリー大学の先生で、アジア太平洋地域の自然災害の被災を減らすための手立ての研究レポート。2番目が韓国の方で、古い公園の遊具を、子どもたちの発想と絵で再生していく取り組み。4番目がバングラデシュの先生の発表で、国の発展の中で保育や幼児教育が定着していない発展途上国に置いて、試行錯誤で保育に取り組んでいる現状と、さらにバングラディッシュは災害の多い国(水害)で、それにより子どもの命と生活が脅かされる事態にあるので、DRR(Disaster Risk Reduction)「災害危機の低減」の必要性について、強く訴えておられました。

私どもの発表内容を具体的に説明すると、2011年の東日本大震災を受けて、岩手と宮城を中心に取り組み始めた『子どもの森づくり運動「東北復興グリーンウェイブ」』(以下「東北復興GW」)の活動について紹介することを目指し発表を計画しました。ただその活動の基礎になっているのは、従前から取り組んでいる「子どもの森づくり運動」ですので、まず我が団体が以前から取り組んでいるこの運動について、その意義と方法について発表し、東日本大震災後この活動が被災地の復興にも寄与できるとの代表の思いから、「東北復興GW」の活動に至った経緯とその詳細について説明しました。加えて、山田町第一保育所阿部所長の震災当日の生々しいレポートと、ドングリ植え付けに参加頂いた園からのお便りをいくつか付け加えて発表としました。

ちなみに、東日本大震災に関連し、被災地の幼稚園や保育園の実態や支援についての発表は、OMEP日本委員会事務局が、この会議内で開催したワークショップ及びシンポジュームと期せずして関連するものとなりました。ただし、実際の日程では私の参加した分科会と、日本委員会事務局のワークショップ(3.11のDVDを見て、自然災害の重要な瞬間に幼い子どもたちの命を守るために保育者はどのようなことができるかについて意見交換)が同じ時間帯になってしまい、お互いを生かし合えない結果になってしまったことは残念でした。

結果、発表会場での日本人の参加者は私以外2名だけという大変アウェイ感が強い中でしたが、発表原稿の仕上げを手伝ってくれた我が英語の先生の、心憎い配慮でいくつか笑いも取りながら、つつがなく発表を終えることができました。原稿作成時にはともかく欧米人に通じる英訳をするのに精一杯でしたが、実際の参加者は、発表者に合わせ、アメリカ、韓国、バングラデシュ、そして中国の方々とその他と大変多様でした。

 

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(別会場発表風景)

特にバングラデシュの発表者には多くの応援の方がついてきておりましたが、生活や幼児教育の環境が日本と全く異なる、この方々には私の発表する一語一語がどう捉えられたのだろうとかと疑問がいっぱいです。私の英語力ではそれを確かめるすべも無く疑問のままですが、国際会議で発表すると言うことはここまで想像力をたくましくして原稿を準備する必要があるのだなと痛感しました。最後にマレーシアの幼稚園の先生から、英語で「この度の震災は本当に大変でしたね」と言われ本当にうれしく感謝の気持ちでいっぱいになりました。

なれない国際会議参加で、たいした報告ができず心苦しいですが、OMEP日本委員会事務局の方を始め、多くの方の支えがあって無事役目を終えることができました。有り難うございました。

「子森ネット」インストラクター河内和男    ⇒OMEPプレゼン資料

 

 

 

 

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